平成2*年*月**日

陳 情 書

東 京 都 知 事
小 池 百 合 子 殿

私たちは東京都**区**1丁目の住民です。

平成1*年*月以来、私たち住宅の中に大きな面積を有する地域における、○○マンションの建築計画に関して、地域住民の生活環境が著しく悪化する懸念から、建築主の○○株式会社と話し合いを持ってきました。

しかし、現段階に至るまで、話し合いがつかず、結論を見出すことができない状態となっております。そこで「東京都中高層建築物の建築に係る紛争と調整に関する条例」に基づき陳情書を提出いたします。

自主的な当事者間の「話し合い」から「陳情書を提出」する理由として、建築主側が誠意ある態度で話し合いの場に臨んでいないことにより起きたことで、以下その理由を掲げます。

【陳情に至った理由】

平成1*年*月*日から*月**日にすでに施行された△△社の工場解体におきましては、住民に対する十分な説明等は行われず、また、説明会開催の申し入れも無視された状態で工事が強行され、近隣住民に、常識の範囲を逸脱した騒音・振動、風による散布物による周辺家屋損傷ならびに地域住民の健康被害が散見されております。

尚、建築予定の○○マンションは高さ**.**メートル、地上n階建て、戸数1**戸の建築物であり、この建設によるさらなる健康被害の増大並びに、建築後の近隣周辺の居住環境や地域の街づくりに与える著しい影響が懸念されます。

また、建築予定地周辺においては、当該建設地西側に6m道路が整備予定となっておりますが、現段階では、現場南側の4m弱幅の一般道しかなく、また、この道路は、近隣の区立**小学校の通学路に当たっているため、この道路を多数の工事車両が通行することは、児童をはじめとする付近住民にとって、著しく危険であるものであります。

さらに、説明不足のままに着工された解体工事に関して、解体対象となった△△工場において、有害廃棄物である吹きつけアスベストやPCBが使用されていなかったか、使用されていた場合、解体工事におけるしかるべき届け出や、近隣住民の健康被害を防ぐためのマニュアルは遵守されていたかどうか、また、工場用地として長年使用され、付近住民により印刷インクの流出などが目撃されている建設予定地における土壌の毒性調査の有無、および、地盤脆弱な土地の土留めを含む敷地整備工事にあたって、不安を感じている周辺住民と工事協定等について、十分話し合う必要があります。

**地区の良好な住環境を守るために、住民の意向を汲み、計画を修正することを望み、建築主である○○株式会社との話し合いを求めてまいりましたが、○○株式会社側は十分な説明を行わいまま、解体工事を強行したのみならず、建設につきましても、工事協定を結ばないまま着工を強行しようとしており、近隣住民の理解を求める努力を全く行っておりません。

よって、以下のような陳情をする次第です。

建築主・設計者・施工者に次の通り陳情いたします。

【計画建築物への陳情内容】

  1. 通行路と工事道路
    現在、建設予定地前には、事実上、幅3メートル未満の抜け道のない公道1本しかない状態です。○○株式会社側は、工事用車両の6m仮説道路を設置し、工事着工すると回答していますが、この仮設道路が設置されたとしても、上記公道を大型車両が通過することは避けられず、明らかに、建築基準法第4条、ならびに、車両制限令(根拠法令:道路法第47条第1項)第5条、第6条、第9条に反するものであります。
     建設予定の建物の規模から入居世帯数も多いと考えられるので、新しく恒久的な幅6メートル道路を造り、その完成後に工事着工する事を要望します。
  2. 土壌汚染について
    建設予定地は、以前、△△社の工場用地として使用されておりました。△△社は、現行の公害防止条例等の施行以前から現地で操業していたため、土壌汚染の危険がありますので、第三者機関による厳正なる調査のうえ、土壌汚染の有無の証明が早急に必要と思われます。
  3. 解体工事における環境被害について
    △△工場解体時において、常識の範囲を逸脱した騒音・振動、ならびに、風による散布物による健康被害が、すでに多数報告されております。(別紙参照)
    上記問題のうち、とりわけ、同工場に有害廃棄物である吹きつけアスベストやPCBが使用されていなかったか、使用されていた場合、解体工事におけるしかるべき届け出や、近隣住民の健康被害を防ぐためのマニュアルは遵守されていたかどうかということについても、住民は多大な不安を持っております。
    ○○株式会社側は、住民に対して納得のいく説明を行い、且つ、家屋損傷などにおいては、しかるべき補償を行うとともに、上記有害廃棄物による健康被害の疑いがある場合、速やかに、措置を講ずるべきであると思われます。
  4. ○○マンション建築案について
    当該建築物は、地上n階建て、高さ**.**メートル、最大長**メートルで、敷地いっぱいに建築されるため、日陰面積がいちじるしく大きくなり、影響を受ける家屋が多くなります。この地域には高齢者が多く、外出の機会が少ない老人や病人にとっては、日照を奪われることはたいへんな打撃になります。また、賃貸マンション、アパートが含まれるので今までより入居率が悪くなるのと家賃料の低減が見込まれ、深刻な経済的打撃も予想されます。
    また、東側住民家屋とマンションのベランダまでの距離が、最短でわずか2メートルしかなく、家の中が丸見えになることが予想されます。
    また、今までは、敷地に余裕がある低層建築の工場であったため、眺望の問題と圧迫感はありませんでしたが、建築予定の建物の場合、建物に面した側は眺望が完全に遮られ、また、建物の圧迫感は相当なものがあります。 以上の理由により、私たちは、建築物の設計の変更を要望します。
  5. 工事協定書締結について 建築工事着工は、住民側と工事協定書の締結を取り交わしてから、工事着工に入ることを要望します。
    工事協定書は具体的項目毎(休日、作業時間、安全管理、環境配慮、衛生管理、苦情処理、家屋損傷と身体的損傷等の損害補償及び、老人宅対策、施工後の電波障害等)に、住民側の了解を得ることが前提となります。

上記の点について、周辺環境及び近隣住民の不安を十分考慮し、住民の理解が得られるように十分協議を重ねるよう、建築主をご指導賜りますよう、衷心よりお願い申し上げます。