最初に確認します
- 都市計画法の基準にあっているかどうかを調べる
市街化区域の500平方メートル以上の土地、もしくは、市街化調整区域では、開発行為を行う場合、開発許可が必要となります(都市計画法29条)。この開発許可を受けるためには、都市計画法に定める基準(同法33・条34条)を満たしていなければなりません。 この基準を満たしていないのに開発許可が出ている場合や、「開発行為」に該当するのにもかかわらず、開発許可を受けないで開発を進めている場合、開発により被害を受ける近隣住民は、開発審査会(市役所・区役所内か、都道府県庁にあります)に対して、開発許可取消の審査請求をすることができます。
この審査請求は、開発許可を受けていることを知った日から、60日以内にしなければなりません。
- 建築基準法にあっているかどうか調べる
建物が建築基準法の定める建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)や容積率(延べ面積の敷地面積に対する建築物の割合)に違反がある場合、建物の構造上の問題がある場合、また、住居専用地域であるのに、1Fに商業店舗が入る建物が建つなど、用途地域の用途制限上、問題があるような場合、建築により被害を受ける近隣住民は、建築審査会(これも、市役所・区役所内か、都道府県庁にあります)に対して建築確認処分取消の審査請求をすることができます。
この申し立ても、処分のあったことを知った日から60日以内にしなければなりません。
もちろん、建築物が、違法建築であり、そのことによって、近隣住民の受ける被害が重大である場合には、被害住民は、裁判所に仮処分を申請して工事を差止めることができます。
ただし、この場合、住民は、被害があることを立証する必要があります。ただ、違反建築だというだけでは、差止めということにならないことがあるので、注意が必要です。
もちろん、違法建築でなくても、日照被害がひどく、受忍限度を超える損害をもたらすときは、仮処分で工事の全部ないし一部を差止める訴訟を起こすこともできます。ただし、残念ながら、たとえギリギリでも、建築基準法に違反していない建築物に対する工事差し止めは、裁判所で認められにくいのが実状です。
とはいえ、この種の訴訟は民事なので、裁判所もなるべく和解をすすめるのが普通で、この仮処分申請をし、裁判上の和解によって、工事の一部を変更させた例は数あります。
また、日照権については、精神的損害に対し賠償請求ができます。
土地価格の下落も大きな被害と考えられるのですが、これについては、残念ながら、裁判所で認められたケースはいまのところありません。
建築基準法の日影規制をまもった建築物であっても、もちろん、損害賠償請求できますが、一般的には、裁判で認められる金額はあまり多くないのが普通です。また、商業・工業地域では損害賠償を認めてもらえなかったケースさえあります。(商業・工業地域と認定されていても、実態は住宅地域であると認められるかどうかが、分かれ目となります)
一方では、和解で、日影規制のない地域でも、数百万円の賠償を認めさせた例、また、日照とは別に、圧迫感に対する補償をも勝ち取った例もあるので、あきらめないでがんばりましょう。
建築基準法