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NBOnline記事「景観は『共有財産』、全国で相次ぐ規制の波」
「業者に誠意がないとき」最高に効果の上がる立看板
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住民運動のアキレス腱

住民運動が進んでいると、業者はなんとかして潰そうとしてきます。
逆にいうと、それだけ住民運動は厄介だということです。そうでなければ、潰そうとする必要はないはずです。

お金を積んで、分裂させようとするという古典的な手口の場合もあれば、気の弱そうな人につきまとい「このままだと、住民を営業妨害・名誉毀損などで訴える」と脅かす手口。
また、口の軽そうな人に、些末な理由をつけては接触し、下手に出ながらおだて上げて、情報を探ろうとすることもあります。
別の世話人や運動に熱心な住人に関して、裏で法外な要求をしてきたなどという、まことしやかなデマを流すこともあります。
とくに、世話人の誰かが、弱ってきているな、やる気を失ってきているな、と思うと、すかさず、いろいろな方法で責めてきます。

これらの手口に、主要な住民、とくに世話人が引っかかると、運動は手痛い打撃を受けることになります。

代表者1名のみが業者と交渉を行い、他の住民も、しっかりした人だから、率先してよくやってくれるからと、事後承諾でいろいろな話を進められることに慣れてしまう(あるいは、表だって異議を差し挟めないような雰囲気になってしまう)ようなワンマン体制になった住民運動は、きわめて脆いと思ってください。
気がついたら、そのワンマン代表が、どこから資金を得たものか、肝心のマンション近隣から離れたところに高級マンションを購入して、引っ越してしまっていたという笑えない話が、実際に当サイトにも届いています。

業者にしてみると、世話人を攻略してしまえば、住民運動など、赤子の手をひねるようなものなのです。
それらを避けるためには、特定の少数の世話人が決定権が持つ、という体制にしないこと。
(これは逆に、世話人自身を護ることにもなります。業者につきまとわれても、「自分にはなんの決定権もない」といえばいいのです)

ただし、しつこくつきまとわれたり、断っても夜間に訪問されたりすることが続く場合、警察に連絡することもできます。もちろん、それだけで罪になるわけではありませんが、何度かそういうことがあると、「かなり執拗なつきまとい行為があった」証拠になります。
電話がしつこい場合は、電話の録音もとっておきましょう。お持ちの電話に録音機能がない場合(あるとしても、たいていは長時間の録音には適さないので)、電気店に行けば、電話をICレコーダーなどに接続できるコードが売っています。(高価なものではありません)

世話人自身も、世話人は「住民から選ばれたエリート」ではないし、名誉職でもないという認識を持つこと。問い合わせたいことがあるというような些末な用件で頻繁に電話がかかったり、しつこく訪問されるなど、自分が業者に目をつけられていると思ったら、それはそれで利用してやろうというぐらいのゆとりがあればいいですが、そうでない場合、周囲に事情を話して、一時的に、世話人を他の方に代わってもらい、表から身を引くことも考えるぐらいのゆとりを持ってください。

また、住民運動が形になってくると、これを潰すために、業者は、個別の事情を聞くと称して、戸別訪問もしてきます。
ここで、高齢者、女性だけの一人暮らし、金銭的にゆとりのなさそうな家庭、などを狙って、切り崩しをかけてきます。ことさら気の弱い人でなくても、数人の屈強な男性に押し掛けられると恐怖感を感じます。

これを防ぐためには、住民の会から、戸別訪問をしないように業者にはっきり通告しておくことが大切です。
住民の方も、業者に押し掛けてこられても、家に入れないで、「交渉は住民の会に一任しております」と答えてください。
高齢者の方に多いのですが、業者に対して、一応の礼儀だと思われるのか、飲み物やお茶菓子などを出す人がいます。なめられるだけなので、気をつけてください。
住民は怒っているのだ、あるいは個別に対応する気はないのだ、ということをはっきりさせておく必要があるのです。
住民の会で、「○○社の戸別訪問お断り」といったステッカー(パソコンで簡単に作れます)を作って、門や玄関などに貼るのも有効です。

戸別訪問を拒否すると、また業者の方で、「誰が住民の会かわからないので、住民の会の名簿を出してくれ」と言ってきますが、それはプライバシーの問題です。素直に出す必要はありません。しつこく訊いてくるようだと、「住民の会に入ることを拒否している人がおられたら、個別交渉のために先方から連絡するようにする。それ以外は、原則として、住民の会と考えてもらいたい」と答えましょう。

また、リフォーム詐欺などの悪質商法の典型的な手口でもありますが、本来ならもっとも被害の大きい隣接家屋に住む御高齢者の住民の方が、頻繁に訪ねてきては親切を装って声をかけてくれる業者の若い社員を、孫かなにかのように錯覚してしまって、気がつくと業者にすっかり取り込まれてしまっていることもあります。
(被害のもっとも大きくなる家の方が、完全に業者側についてしまうと、運動がやりにくくなることがあるので、ご注意ください。)
業者もそのつもりで、若い社員を送り込んで、一人暮らしのやさしいおばあちゃんに出鱈目な身の上話をさせたり、悩み事の相談(笑)を持ちかけて、すっかり気を許させてしまうというパターンが実際にあるのです。
これを防ぐには、近隣の家でなるべく、ご老人だけのお宅と声を掛け合ってください。
必ずしもお一人暮らしでなくても、御高齢者の方が家の名義人で、昼間一人きりでいらっしゃることが多いような場合は、ご家族の方も注意してください。
場合によっては、委任状をもらうことも有効です。

また、「偽りの誠意」にも注意する必要があります。
住民運動が明らかに予測できる地区の場合、「フカシ」といって、わざといったん「実際の計画より1〜2階高いマンション建設計画」を発表し、「住民と話し合って、階数を引き下げました」という形式をつくり、それをもって、それ以外の設計変更や条件交渉に応じないという、まことに知能犯的なやり方です。
「住民が交渉し、業者が譲歩して低くしたはずの高さ」が、実際は容積率ギリギリになっていることがないかどうか、確認する必要があります。

また、最初のうち、非常に低姿勢で住民と対話を行い、要望等をできる限り聞く姿勢を見せて、良心的な業者だと、住民をすっかり安心させたうえで、抜け穴だらけの協定書を結ばせ、そのあと豹変したケース。
「補償金はあまり範囲を広げるより、もっとも被害の大きい隣接家屋数軒だけで分け合った方が、金額が高くなりますよ」と、隣接の家だけに補償金交渉を持ちかけて、住民運動を見事に分裂させ、結果として、甘い言葉に騙された隣接家屋数軒も雀の涙の補償金しか貰えなかったうえ、近所付き合いに大きなしこりを残したケースも、実際に、当サイトに届いています。

残念ながら共謀罪が成立してしまったため、これがマンション建設反対運動に適用される可能性があるのではないかと心配されておられる方も出てくるかと思います。しかし、現時点では、マンション建設反対運動がらみで、たとえ暴力事件(もみあったり)や、不法侵入(相手の敷地に誤って入ってしまった)などを理由にして、運動に対して共謀罪を適用するようなことはできません。また、万一、そのような事例が起こったら、共謀罪に反対する立場の日本中の弁護士さんが手弁当で応援に駆けつけていただけるでしょうから、その点については、現時点では安心してくださっても大丈夫です。